すずらん、すいせんは、1996年に敦賀(福井県)~小樽(北海道)航路に就航した新日本海フェリー株式会社の姉妹船です。それまでの同社の他フェリーと比べて少しコンパクトになったこの船の一番の特徴は最高29.4ノット(換算すると約55km/h)の航海速力。これまでのフェリーでは、敦賀~小樽間を約29時間要していたのが約8時間も短縮され、21時間で行き来できるようになりました。外観上の特徴でもある流線形のファンネル(煙突)、そして船体の形状が速さをイメージさせます。

 北海道上陸が、早朝ではなく夜に着くことがメリットとなるかは利用者によって様々ですが、敦賀港への到着が翌日夜というのは、目一杯北海道旅を楽しんで翌朝から仕事に行く社会人には、ありがたい存在でした。(2003年以降度々乗船)
 
 
 客室以外のくつろげるスペースとして、船首のフォワードサロンやエントランスロビー、プロムナード(展望通路)、船尾のオープンデッキ等がありました。

 プロムナードには、椅子と小さなテーブルが並べられていて、海を見ながらのんびり過ごせます。船の両側にプロムナードがあるのは、このすずらん、すいせんが最後で、以降のフェリーでは片側のみとなっています。

 広めのエントランスロビーは、フェリーあざれあ、しらかばから続く造り。フォワードサロン階下の喫煙部屋「スモーキングルーム」は、すずらん、すいせんでは廃止されました。

フォワードサロンプロムナード(左舷側)プロムナード(右舷側)
エントランスロビーシアタールーム3層吹抜構造のエントランス
 
飲食施設は、レストランの他に、コース料理が楽しめる予約制のグリルや軽食を扱うカフェがありました。その他、売店や自動販売機でも食料や飲料が売られており、インスタント食品等用の熱湯が手に入る給湯室も設置されていました。

レストランカフェテラス売店
 浴室は同社他フェリーと比べるとかなり小さいものでした。また、浴室とは別に、船尾に水着を着て利用するタイプのサウナ・シャワールーム、ジャグジーがあり、ジャグジー周りにはデッキチェアが置かれていました。以降に就航したフェリーではこれらの設備は廃止されています。

浴室サウナ・シャワールームジャグジー

客室は、個室のスイートルーム、特等(洋室、和室)、1等(洋室、和室)と相部屋の2等寝台、2等和室の5クラス。この頃の1等室は洗面台のみで、室内にトイレはなく、パブリックスペースのトイレを共用していました。うち、4名定員タイプの洋室は、手前両脇に2段ベッド、奥に小上がりがある造り。洗面所、簡易衣装ロッカー、テレビ等の設備、照明やエアコン、館内放送を自分で調節できるのは個室に共通するものでした。

 特等室以上は、バス、トイレ、冷蔵庫の設備が追加され、最上級のスイートルームになると乗船中の食事が3食付いていました。ただ、初の高速船だったせいか、同社ニューあかしあ以降に就航したフェリーのスイートルームには全て付いている専用テラスが、このフェリーにはありませんでした。

2等和室2等寝台2等寝台
1等洋室(窓方向)1等洋室(入口方向)1等洋室(4名部屋)
 就航当初は、出港後しばらくの間は写真の外部甲板へも出ることができましたが、その後立入禁止となりました。唯一、外に出ることのできた船尾の外部デッキは、半分ほどはアクリル製の天窓がついた屋根に覆われていて開放感は今一つ。しかも、天窓の清掃がされていないのか、汚れて光をあまり通さない状態になっていました。

外部甲板外部甲板船尾の外部甲板の屋根

上記以外に、卓球ができるスポーツルームやビデオが見られる個室のビデオルーム、ゲームコーナー、チャイルドルーム、コインロッカー等の設備がありました。

 

すずらん、すいせん(1996年就航)
全長199.5m
全幅25.0m
総トン数17,345t(すずらん)、17,329t(すいせん)
旅客定員515名
車両積載台数乗用車80台、トラック122台
造船所石川島播磨重工業横浜工場
※近海郵船株式会社が、2003年6月から敦賀港~苫小牧港間にRORO船(貨物船)の運行を開始した3ヶ月後の2003年9月から、苫小牧東港発着に航路変更されました。
※2012年4月1日より、船室呼称が「特等室A→デラックルームA」「特等室→デラックスルームB」「1等室→ステートルームB」「2等寝台→ツーリストA寝台」「2等和室→ツーリストA和室」に変更されました。(2012年追記)
※2012年6月に初代「すずらん」「すいせん」は、それぞれ2代目「すずらん」「すいせん」の同航路への就航に伴い引退しました。うち、初代すずらんは、現在は防衛省との契約により、PFI船舶「はくおう」としてチャーターされ、部隊輸送や災害時のホテルシップ等として活躍しています。(2017年追記)