弟子屈町に幻と言われる滝があると聞いて行ってみることにしました。
難点は、滝の正確な位置がわからないということ。
情報がほとんどなく、わかっているのは、屈斜路湖に流れ込む尾札部川の上流にあるということだけ。
とりあえず尾札部川を遡ってみることにしました。
鹿防護柵のゲートを開けて、林道を奥へ進みます。
川沿いの林道を車でしばらく進み、林道の終点からは徒歩で沢づたいに登ります。
滝は尾札部川の上流にあるわけでなく、川に流れ込む支流の1つの上流にあるため、どの沢なのか見極めが難しいところ。地形図の等高線を頼りにあやしそうな沢を登ることにしました。
登るといっても道はなく、笹藪をかきわけ、倒木や岩を利用して沢を何度も渡りながら、上流に向かって歩けそうな所を進むのです。
途中で思うようには進めず、どうしたものかと休憩していると、道とはいえないものの、何かが通ったような跡が見えるではありませんか。
獣道(けものみち)です。
ということで獣になった気分で獣道を進むことに。
倒木更新。倒れた木を根床に新たな木が育っています。
歩き出して30分ほど。
ホントに滝があるだろうかと不安になってきたころ、滝を落ちる水の音が聞こえてきました。
この沢で正解だったようです。少し歩くと「夕染の滝」が現れました。
落差は約25mほどあります。
さらに奥に進むと「釣鐘の滝」が。
落差は約15m。丸い大きな岩盤の上から水が流れ落ちています。
この岩盤の形から「釣鐘」の名がついたのかもしれませんね。
落差が何十メートルもある有名な滝の豪快さもいいですが、小さいながらも人知れずひっそりとある滝を独り占めするのもまた良いものです。
この滝は、人と出会うこともない人気の全く場所にあります。逆にヒグマと遭遇する危険もありますので、訪れる際は少なくとも熊よけの鈴等は持参したほうがよいでしょう。(2003年訪問)