翌々々々日。
前夜にボンズホームのオーナーから連絡があり、船の修理が完了し明日は運航するとの連絡をもらって予約していたので、早朝、再び弟子屈町からウトロへ。
船に乗り込みウトロ港を出港。昨日ほどではありませんが良い天気です。
フレペの滝に到着すると、昨日と同じようにエンジンを止めて、船長のガイド。
説明が終わって再びエンジンを掛けようとスターターを回すと…エンジンが掛かりません。
今日も引き返すのか…一抹の不安が頭を過ぎります。
船長が原因を調べに機関室へ入り、しばらくするとエンジンが掛かりました。
修理業者が燃料系のバルブを閉めたままにしていたとのこと。ほっ。
船は知床半島の先に向けて進行。
往路は海岸から少し離れて航行します。
ルシャ川河口を過ぎたあたりで、船長が海岸にいるヒグマを発見。
双眼鏡で見ると判別できますが、肉眼だと何かが動いているのが見える程度。
こちらは岩尾別川で撮影されたヒグマ。
こんなのが海岸にいるのを見ることができます。
(Photo:Yamamoto)
船は進み、知床岬に近づいてきました。
こちらは避難用の港、文吉湾。
断崖絶壁が途切れると、岬まではなだらかな海岸線が続きます。
遠くから見ると草原のように見えますが、実際は人の背丈ほどもある高さのクマザサが生い茂っています。
やがて知床岬、地の果てに到着です。
岬周辺での上陸は禁止されています。
ここが観光船の折り返し地点で、復路は陸に近づいて海岸線に沿うようにゆっくりと航行します。往路では遠くに見えていた奇岩や滝を間近で観察することができます。
形から名が付いたのでしょう、「メガネ岩」。
滝の水が直接海に落ち込む珍しい滝「カシュニの滝」。
海岸沿いの所々で見られる建物は「番屋」と呼ばれる漁師の作業用施設。
今ほど船の性能が良くなかった時代、日帰りできないような遠い漁場へ行くときに、番屋は漁の期間中の拠点として使われていました。
こちらの施設のように、現在でも、漁師が泊り込んだり、作業場として使われているものもあります。
番屋の後ろは、チャラセナイの滝。タキノ川が海に流れ込む地点です。
ヨウシペツの滝。
知床硫黄山から流れ出る硫黄川の山の最終点で、V字型の谷が特徴的。
温泉の川や滝で有名なカムイワッカ川の最終点「カムイワッカの滝」。
硫黄成分で河口付近が変色しています。
崖上の知床五湖からの水が、断崖の割れ目から滲みだしている箇所。
フレペの滝(乙女の涙)の東隣の崖の間から海に流れ落ちる滝「男の涙」。
滝の水量がフレペの滝よりも少ないことからこの名前が付いているようです。
現在は陸からは行くことができません。
ウトロ港に帰還し、ツアーは終了。
この年の北海道旅は、日程の半分以上をこの観光船に乗るために費やすことになってしまいましたが、それだけしても乗る価値のあるツアーでした。
※記事で紹介している観光船は2001年に引退し、翌年からは新しい船に替わりました。
※知床自然観察船は、2016年より運航を休止しています。