知床半島の北側、斜里町ウトロの観光地をまわっていると「知床八景」と書かれた看板を所々でみかけます。
八景とされているのは「オシンコシン展望台」「オロンコ岩」「プユニ岬」「フレペの滝」「知床五湖」「カムイワッカ湯の滝」「知床峠」「夕陽台」の8つ。
知床半島は、縦に二分する斜里町と羅臼町からなるのですが、八景とされているのはどこも斜里町内にあります。世界自然遺産に登録されたことを機会に、2つの町にまたがる「新・知床八景」を新たに打ち出すのもいいかもしれません。
フレペの滝
知床自然センターから続く自然道を20分ほど歩いたところにある滝。川の途中にあるふつうの滝と違い、この滝は知床連山に降った雪と雨が地中を通って、断崖の割れ目から湧き出し、滝として海に流れ落ちるのが特徴です。
滴のように落ちていることから「乙女の涙」とも呼ばれています。自然道を歩いていると鹿や羆といった野生動物に出会えるかも。歩く際は熊よけ鈴の携帯が必要です 。
知床峠
斜里町ウトロと標津郡羅臼町を結ぶ知床横断道路の頂上が知床峠。標高738mの峠からは日本百名山の羅臼岳、そして天気の良い日には羅臼側の海の向こうに北方四島の一つ、国後島が望めます。
この道路が開通したのは昭和55年。当時、ウトロと羅臼を繋ぐ産業道路として、現在は世界自然遺産に指定されている山を切り開いて造られたのだそうです。
オシンコシンの滝
ウトロの街に入る少し手前にある滝で、観光バスが立ち寄る定番観光スポット。滝の中で流れが二手に分かれて落ちることから「双美の滝」とも呼ばれています。
観光客が溢れる国道沿いの展望台が苦手な方は、旧道のほうをおすすめします。海岸沿いの新道ができるまでは、こちらが国道334号線で、オシンコシンの滝の展望地でした。遠音別岳から流れてきたチャラッセナイ川が海に流れ込む前に滝となる場所で、滝を見上げる国道沿いと違ってこちらは滝を見下ろせます。
夕陽台
国設知床野営場の一角にある名前のとおり夕陽の展望地。ウトロの温泉街にあるので、ちょっと早めに宿に着いたらここまで散歩にきてみてはいかがでしょう。さらに時間がある人は二つ隣の「夕陽台の湯」へ。温泉に浸かりながら夕陽を見ることができます。
知床五湖
知床連山を源とする地下水が湧き出している場所がこの5つの湖です。湖の水は再び地中を通って断崖から浸み出し海に流れ込みます。原生林に囲まれた湖の岸には遊歩道が整備されており、1時間半くらいで一周することができます。
知床半島が世界自然遺産に登録された影響を最も受けているのはここではないでしょうか。混んでいるときは駐車場に入るまでに1時間以上も待たないといけないのだとか。
バスツアー等で訪れる観光客はたいてい一、二湖だけを見て帰っていくので、三湖、四湖、五湖は静かでゆっくりと回ることができます。
一湖 | 二湖 |
三湖 | 四湖 |
五湖 |
プユニ岬
ウトロから知床自然センターへ向かう国道途中の上り坂にある展望地。ここを通ると、たいていの人は振り向いてしまう場所です。オホーツクの海岸線やウトロの街や港が一望できるほか、天気の良い日には遠くの雌阿寒・雄阿寒の山々が見えることもあります。
そして、日が暮れてくると、今度はオホーツク海に沈む夕陽を見る絶景ポイントになります。
オロンコ岩
ウトロ港の入口にそびえ立つ大きな岩山。岩の名前は、大昔にこの岩の上にオロッコ族(樺太の先住民族)が住んでいたことに由来します。岩壁には階段が付いていて、高さ約60mの頂上まで歩いて登ることができます。
岩山の頂上なのでゴツゴツした岩場を想像しますが、登っていると意外、草原になっています。花の時期に行くと一面が花畑になるので、登るならこの時期がおすすめ。階段が急なのでお年寄りにはちょっときついかもしれませんが、苦労して登るだけの価値はあります。
カムイワッカ湯の滝
カムイワッカ川の上流部の岸壁から温泉が湧き出していて、それが川に流れ込んで川そのものが温泉になっているという温泉の川。
かつては、脱衣所も男女の別もない野趣あふれる天然の露天風呂で、川の中を歩き、時には手足を使って難所を越えて遡り、上流にいくつかある滝壺を湯船にして入っていました。20分ほど遡った一番上の滝壺が人も少なくて湯温もちょうどよいです。
2005年に知床が世界自然遺産に指定されてからしばらくは、年間を通じた交通規制により、シャトルバスでしか行くことができませんでしたが、その後、7・8月のハイシーズン以外は自家用車でも滝の入口まで行くことができるようになりました。
ただし、落石の恐れがあるとして、駐車場から最も近い1つ目の滝までしか行くことができません。
写真は上流の滝壺。ここが最も湯加減が良かったです。