「いしかり(2代目)」は、1991年に就航し、名古屋~仙台~苫小牧間を航路としていた太平洋フェリー株式会社のフェリーです。現行の「きそ(2代目)」や「いしかり(3代目)」では客室のある3層のうちの中層にあるラウンジが、この「いしかり(2代目)」では上層に配置されていたため、その分、中・下層のパブリックスペースがかなり広く、また、「きそ(2代目)」や現行の「いしかり(3代目)」のように椅子やテーブルが敷き詰められてないため、とてもゆったり感がありました。
ショップ、ゲームコーナー、ミニシアターに至っては(需要はともかく)数倍の面積があり、宴会場や夜の遅い時間帯のみ営業のピアノバー、カードルーム等があったりと、「バブルな時代の船」を感じさせるフェリーでした。以降、新造船として「きそ(2代目)」、「いしかり(3代目)」の2隻が就航していますが、この「いしかり(2代目)」には及びません。それだけに引退してしまったのが残念なフェリーです。
はじめて乗船したときは、ラウンジショーや船長トークショー、操舵室見学等の様々なイベントや、乗船中常時営業しているカフェやショップに驚いたものでした。(1999年、2000年、2003年乗船)
客室は、個室のスイートルーム、特等(洋室、和室)、1等(洋室、和室)と相部屋のA寝台、B寝台、2等和室の6クラス。スイートルームと特等はバス・トイレ付き、1等はシャワー・トイレ付きの個室で、A寝台はカプセルホテルにあるテレビ、エアコン、読書灯付きのカプセルベッドが使われていました。
レストランは船尾にある、左右後ろの3面オーシャンビューの造りで、「きそ(2代目)」や現行の「いしかり(3代目)」と違って、室内が広く、個々のテーブルや料理が並べられたカウンターテーブルとの間隔がかなり広くゆったりとしているものでした。
売店は、乗船中、朝から就寝時間までほぼずっと営業していて、北海道や愛知県、寄港地の宮城県の土産物や菓子類、アルコールも含む飲料、雑誌が売られていました。店舗面積は121平米と現行の「きそ(2代目)」、「いしかり(3代目)」の2倍以上の広さがあり、なぜか洋服やアクセサリーなんかも扱っていました。
スタンドは、売店同様、乗船中ほぼずっと営業している喫茶店で、軽食やドリンクのほか、ジェラートも販売しており、営業時間の関係でレストランでの食事を食べ損ねた場合や、バイキングは量・金額的にきついという人にはぴったりの店でした。スタンド横では、昼間にピアノ演奏会が開催されていました。
レストラン「カリブ」 | スタンド「ヨットクラブ」 | 売店 |
スターダストラウンジ | 船長トークショー | 操舵室 |
プロムナード | ショップ前のスペース | プラザ |
展望大浴場 | オープンスカイホール | トップデッキ |
宴会場は畳敷きで、往年は大広間に名称が変更され、団体客用の寝室としても使用されていました。
ミニシアターは、映画館のように後席になるほど座席が高くなる造りで、席数は56席と「きたかみ」の1.5倍に拡張されていました。
ピアノバーは、ラウンジショー後、消灯時間まで開いていた大人向けバーで、ビール、日本酒、ウィスキー、ワイン等のアルコール飲料やソフトドリンクを扱っていました。席料・サービス料は無料。
「いしかり(3代目)」や「きそ(2代目)」では、宴会場は廃止、ミニシアターはラウンジに統合廃止、ピアノバーはカフェに統合廃止されています。
宴会場「摩周」 | ミニシアター | ピアノバー「カサブランカ」 |
上記以外に、ゲームコーナーやカラオケスタジオ、ミーティングルーム「ローズルーム」、カードルーム等の設備がありました。
全長 | 192.5m |
全幅 | 27.0m |
総トン数 | 14,500t |
旅客定員 | 854名 |
車両積載台数 | 乗用車150台、トラック176台 |
造船所 | 三菱重工業神戸造船所建造 |
- 「いしかり(2代目)」は、「いしかり(3代目)」の就航に伴い、2011年3月に引退しました。