「富士」は、2005年に就航した富士山清水港クルーズ株式会社が受託運航するフェリーで、清水港(静岡市)~土肥港(伊豆市)間を航路としています。駿河湾を航行し、海の上から富士山を眺められるのが一番の特徴。2013年には富士山の語呂合わせにちなんだ223の数字を使い、同航路が県道223号線に指定されています。

駿河湾フェリーふじ02

客室は2層あり、1階は普通運賃で利用できる一般席で、進行方向に向いた椅子席のほか、対面タイプ、靴を脱いで過ごせる座敷タイプの席もあります。


2階は、追加料金を支払うことで利用できる特別室「オーシャンルーム」で、背面や座面が厚みのあるリクライニングシート席とラウンジ席が並んでいてゆったり過ごせます。1階に置かれた自動販売機でシールタイプの利用券を購入して、それを胸に貼り付けるちょっと変わったシステム。


2019年8月からは、貸切料金で利用できる個室タイプの特別室の販売が開始されていますが、約70分で到着するので持て余してしまうかもしれません。


駿河湾フェリーは、事業赤字が続いており、前運航会社であるエスパルスドリームフェリー株式会社は2019年3月末に撤退。公益性の観点から必要な事業として、2019年に静岡県の地方自治体(静岡県、静岡市、下田市、伊豆市、西伊豆町、南伊豆町)で「一般社団法人ふじさん駿河湾フェリー」を設立、赤字補填をしながら運営を継続しています。

海上移動により、渋滞することなく伊豆半島に渡れるのがフェリーのメリットですが、発着地の土肥港から他要所への移動は、未だ急カーブや坂道、狭い道路が多く、中伊豆や南伊豆へのアクセスが良いとは言えません。一方で、かつては沼津IC付近から恒常的な交通渋滞が発生していた国道136号線は、伊豆縦貫道路道路の整備が進み、渋滞発生もかなり抑えられるようになりました。経営改善を進めてはいますが、フェリー事業の黒字化は難しいかもしれません。

全長83.0m
全幅14.0m
総トン数約1,554t
旅客定員414名
車両積載台数大型バス12台+乗用車5台
造船所熊本ドック株式会社
富士要目