豊洲地区(東京都江東区)と晴海地区(東京都中央区)を繋ぐ春海橋の横に錆び付いた橋があります。
「晴海橋梁」や「晴海鉄道橋」と呼ばれる橋で、かつて東京都港湾局が運営する貨物輸送用の鉄道が走っていました。

晴海橋梁4

貨物専用鉄道は、東京湾の臨海地区に1953年(昭和28年)に深川線が敷設され、その後晴海線、芝浦線、日の出線と増設され、総延長は24km余ありました。

晴海橋梁3
(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

昭和40年代の高度経済成長期には、石炭やコークス、塩、新聞巻取紙、米、小麦、果物野菜等の生鮮食品等を輸送し、最盛期には取扱貨物量は170万トンにも達したそうです。

しかし、昭和50年代に入り、陸上貨物の輸送が鉄道からトラックに移行していき、鉄道貨物の取扱量は年々減少。1985年(昭和60年)に芝浦・日の出線、1986年(昭和61年)に深川線と次々に廃止されていき、1989年(平成元年)の晴海線の廃止により東京湾の貨物専用鉄道はすべて廃止されました。

晴海橋梁は1957年に完成した晴海運河にかかる鉄道橋で、越中島駅と豊洲石炭埠頭を結ぶ深川線の途中で分岐して晴海埠頭へ続く晴海線が通っていました。鉄道橋としては日本初のローゼアーチとPC(プレストレストコンクリート)連続桁を採用した橋梁です。

晴海橋梁2
(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

晴海線の廃止から30年以上が経過し、高層ビルや高層マンション、大型施設が建ち、周辺の風景は変わりましたが、晴海橋梁は撤去されず当時のままの姿で残っています。

晴海橋梁5

東京都は2017年に臨海部の海上公園ビジョンを策定。
その中では晴海橋梁を補修して遊歩道化する構想が盛り込まれています。
橋が見られるのもそう長くはないようです。