弟子屈町の山奥にキンムトー(キムントー)という沼があります。
雨水や雪解け水がたまってできた小さな沼で、沼の名はアイヌ語で「山上にある神秘的な沼」を意味します。
森に囲まれた沼に訪れる人はほとんどなく、聞こえるのは鳥のさえずりくらい。静寂という言葉があてはまる場所です。
枯れ木に止まってのんびりしているトンボを見ていると平和な気分になります。
右手方向。
沼の畔にはエゾジカの足跡が。水飲み場になっているのかも。
日本語では「湯沼」と表記されるのは、沼のあちこちから温泉が湧き出していることから。
現在は入湯できるほどの湯量はありませんが、沼の淵をよく見ると、わずかながらも湯が湧き出しているのが確認できます。
こちらは温泉マニアが作ったものと思われる浴槽跡。
弟子屈町の町史によると、かつては温泉施設もあったそうですが、わずか数行程度の記述で他に資料も情報もないため詳しくはわかりません。
川湯や摩周といった温泉が平地に多くあるこの町で、こんな山奥までわざわざ浸かりに行く人がいたのかと考えると、謎が深まります。
沼の畔には、温泉施設の遺構が確認できます。
こちらはコンクリート製の基礎。
周辺には土管や煉瓦等が散乱しています。