西の河原(さいのかわら)は北海道古宇郡神恵内村にある霊場で、カムイミンタラ(アイヌ語で神の遊びし処の意)とも呼ばれます。積丹半島を一周する国道229号線が全面開通するまでは、最寄りの集落からでも1日がかりで歩かないと行くことができない秘境の地で、巡礼者は船に乗ってこの霊場を訪れていました。
近くの珊内の集落にかつてあった「積丹かもいユースホステル」では、道路の行き止まりから道なき道を開拓し、西の河原まで歩いて行く「愛とロマンの8時間コース」ツアーを催していたそうです。
西の河原トンネルの南側、あんない展望公園から見るジュウボウ岬と西の河原。
1996年(平成8年)、積丹半島を一周する国道229号線の未開通区間(積丹町沼前~神恵内村川白)の開通に伴い、国道から西の河原への遊歩道が整備され、歩いて30分ほどで行くことができるようになりました。
しかし、2001年より落石の危険があるとして、地元自治体の神恵内村は案内板を撤去、遊歩道の入口を通行止めにし、草刈り等の管理も行われなくなりました。
遊歩道の入口は国道沿いのレストスペースにあるトイレ。
国道下のトンネルを通って海岸に出ると向こうに見える、岩山の先が西の河原。
遊歩道脇には通行止めの看板が。
隣の看板によるとマムシもでるよう…。
管理されていない遊歩道は、草が生い茂り、少し進むと背丈ほどの高さに。
草をかき分けて先へ進むしかありません。
遊歩道の一部に敷かれている木道部分は、下から草が生えておらず、手すりもあって進むべき方向がわかる分まだまし。
木道がない部分はご覧のように歩いてきた軌跡もわからない状態。
岩山の尾根まで登るとジュウボウ岬と西の河原が現れます。
右手には沼前岬、遠くに神威岬が。
尾根からの下りも草だらけで地面が見えず。
手すりを頼りに藪漕ぎして崖を降りていきます。
崖を降りた先は玉砂利の海岸。
積み石が見られます。
海岸に打ち上げられた難破船。
周辺は北海道の海の三大難所(茂津多岬、雄冬岬、神威岬)の一つで、西の河原も「地獄の賽の河原」として船乗りには恐れられていたそうです。
地蔵堂には船で遭難した人々の霊を供養するためのお地蔵様が祭られています。
周囲には積み石がいくつも並び、また、波の力で転がり削れて丸くなった石がカラカラ鳴っていて異様な雰囲気。
奥のジュウボウ岬には、船着き場続く通路の跡が残っていました。
遊歩道がここまで荒れてしまうと、以前のように船に乗らないと来られない場所になるかもしれません。