半時間ほど歩くと湖畔に船着場跡が現れます。
1990年代までは、然別湖対岸の「ホテル風水」を発着する遊覧船がこの場所に寄港していました。
遊覧船を利用すると東雲湖へはここから徒歩数十分で気軽に行くことができていましたが、その便の良さが仇となり、押し寄せる観光客が、途中の岩場に生息している「ナキウサギ」にストレスを与え、その生態に影響を与えることになってしまいました。
そこで、ナキウサギ保護のため、遊覧船の寄港は廃止され、船着場も撤去されました。
そのおかげで、然別湖の湖畔をぐるりと周って1時間程度歩かないと東雲湖へは行くことができなくなり、訪れる観光客も減少、再びナキウサギの姿が見られるようになったそうです。
山道をしばらく進むと噂のナキウサギの生息する岩場に出ます。じっとしていると、ナキウサギの鳴き声が聞こえてきます。しかし、岩の中に潜んでいるのでなかなかその姿を見ることはできません。たまに岩の間から出てきてもすぐに引っ込んでしまうのです。恥ずかしがり屋のナキウサギの姿をカメラに収めるには根気と時間が必要です。
ナキウサギは、日本では北海道の大雪山あたりにしかいない希少動物で、アジア大陸と陸続きだった氷河期に北海道へ移り住み、その後も生きながらえてきたことから「氷河期の生き残り」と言われています。岩場の岩の下に巣を作って住んでおり、外見はウサギというよりハムスターのよう。
(Photo:Yamamoto)
草木が生い茂っていて、この位置からだと湖はほとんど見えません。
胸くらいの背丈のある熊笹をかき分け湖畔へ進むと…。
湖を見渡せる場所に出ました。
池の周囲は1キロほどで、三大秘湖の中では最も小さく、湖というより沼のよう。
ひっそりとしていて、森の中から拓けた所に出てくるせいか別世界に来たような気分になります。
今回は湖畔ルートを通って東雲湖へ行きましたが、白雲岳と天皇山を縦走して行くルートもあります。晴れていれば登山とあわせてそちらのルートから湖へ行くのも良さそうです。(往路1時間、復路1時間)